書くことで成長する

2014年08月03日

今週一週間の補習は人権作文と読書感想文の手助けに終始したわけですが、それもひと段落しそうな様子です。
作文するために必要な情報を提示したり、少し話しをすると生徒はどんどん書いていきます。どうしても書けない者はいないということに改めて驚かされます。
やはり「何を書いていいかわからない」や「どう書いていいかわからない」という状態は、単なる情報不足に過ぎません。ほんの少しの情報だけで、それをもとに立派に価値判断をすることが中学生にはできます。

その中で特に興味深かった例を。まずは人権作文。
大半の生徒が「いじめ問題」を選ぶ中、その中三生徒二人は「いじめ」はどうもピンと来ないということで選びませんでした。それは彼女たちが人を嫌ったり攻撃したりする「権力ゲーム」から自由であるということなのでしょう。
かといって他にテーマを思いつかないということでテーマ選びから始まったわけですが、それぞれが選んだテーマは「女性の社会参画」問題と「在日韓国・朝鮮人差別」問題。社会問題に対して関心をもち、それについて意見を述べるということは「批評する」ということで、単に感情に起因する善悪判断とは違う次元の精神の働きが必要です。二人共しっかりとした価値判断と意見を述べられている文章がかけました。そしてこういう「批評して書く」という経験を繰り返すことで、感情的な好き嫌いだけで物事を判断するのではなく、価値判断と倫理に基づく行動規範を身につけていくことになるのでしょう。子供は成長します。中学生をなめてはいけない。もしかしたらその端緒となる場面に立ち会えたかもしれません。

僕も皮膚感覚だけで借り物の物語を語る大人になっていないか気を付けないといけません。